ロボットが切り拓く鳥類飛行の起源

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- 研究責任者
中田 敏是 准教授 / Toshiyuki NAKATA
- 所属
千葉大学 大学院工学研究院
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- 研究責任者
撮影、点検、エンターテインメントなどで活躍する飛行ロボット(ドローン)は、効率、安定性、安全性、騒音、環境認識などの面からまだ課題があります。一方、自然界では、昆虫や鳥といった生物が、飛行ロボットの活躍が期待される環境で、飛行ロボットに近いスケールでも巧みに飛行してきました。このため、飛行の大先輩である生物を理解することで、工学的な観点から有用な、様々なヒントが得られます。私はこれまで、シミュレーションやロボット技術を活用して、生物飛行のメカニズム解明と、その知見に基づく新しい飛行ロボットの設計を目指して研究を進めてきました。
シミュレーションやロボット技術のような、生物飛行の理解に有用なツールは、断片的な情報しか残っていない古生物の飛行の理解にも有用と考えられます。例えば、「鳥類の飛行の起源」は、現在でも議論が続く大変興味深いテーマです。最古の鳥類である始祖鳥の飛行については、化石から得られる骨格と現生鳥類との比較に基づいて、様々な仮説が提案されてきました。しかし、その骨格が現生鳥類と大きく異なることから、いずれも反証があり、コンセンサスが得られていません。
本研究では、これまでの化石に基づく情報を手がかりに、私が生物飛行の理解に活用してきた「力学」と「ロボット」をツールとして最大限活用して、始祖鳥の飛行様式の導出に挑戦します。この取り組みの過程で、既知のものと根本的に異なる飛行様式が発見される可能性もあり、工学的にも有用な知見が得られることも期待できます。
