千葉ハロゲン科学:ハロゲンで繋ぐ分子機能
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- 研究責任者
荒井 孝義 教授 / Takayoshi ARAI
- 所属
千葉大学 大学院理学研究院
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- 研究責任者
ヨウ素は日本が輸出できる数少ない貴重な元素資源です。世界のヨウ素の約30%(世界第2位)を日本が生産し、千葉県はそのうち75%を担っています。そのため、千葉大学では『ヨウ素の科学を牽引』していくことが地域における産学連携の責務と捉え、「ヨウ素学会」や「千葉ヨウ素資源イノベーションセンター(CIRIC)」を設立し、ヨウ素研究を育んできました。また、ヨウ素科学だけではなく、ヨウ素と同じハロゲンに分類される元素である、臭素(Br)・塩素(Cl)・フッ素(F)の研究も展開し、新たな成果を生み出すともに、多くの知見を蓄積しています。本研究では、広義に『千葉ハロゲン科学』として協働する体制を整え、ハロゲンを利用した新たな医療「ハロゲン医療」の確立に向けた学際的先端研究を行います。
現在、分子が基盤となる最先端医療として、がん細胞に反応して光り、がんを検出する蛍光プローブによる診断、体内のがん細胞上で薬剤を化学合成する生体内触媒治療や、光に反応してがん細胞を集める薬を投与し、集まったがんにレーザー光をあてて治療する光免疫療法などが近年大きな注目を浴びています。これらの診断方法や治療方法は、それぞれ全く異なる化合物を用いて行われてきました。一方で、こうした化合物の中心機能である蛍光特性や触媒活性は、図に示すようにハロゲンの種類によって変化すると考えられます。
そのため本研究では、基本的な分子構造は同じでありながら利用するハロゲン元素の種類と位置の選択によって、生体(細胞)内での触媒活性・蛍光特性・生物活性を調節(ハロゲンチューニング)する全く新しい診断治療概念の創出を行います。これにより、1つの分子を用途に合わせて使い分ける「一分子多機能化」が可能となるため、将来的には単一分子でがん可視化診断とがん治療を一挙に行う、診断と治療を同期するハロゲン医薬の実現を目指します。