公正社会研究の新展開 -ポストコロナ時代の価値意識と公共的ビジョン
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- 研究責任者
水島 治郎 教授 / Jiro MIZUSHIMA
- 所属
千葉大学 大学院社会科学研究院 / 災害治療学研究所
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- 研究責任者
21世紀に生きる私たちは、文字通りグローバル社会を生きています。しかしグローバル化した世界においては、現在、雇用の不安定化や経済格差の拡大、都市と地方との地域間格差の拡大、ジェンダー間格差、国際的な富の偏りなど、様々な「不公正」現象が明らかとなっています。そこで私たちの研究は、この不公正社会の現状分析を踏まえながら、あるべき「社会的公正」を追究しようとするものです。不公正な社会では、さまざまな分断や疎外が出現していますが、私たちはこれを克服すべく、社会提言や発信を展開していきます。
私たちの研究グループは、すでに2016年度より千葉大学リーディング研究育成プログラム「未来型公正社会研究」の中核メンバーとして、学際的な研究プロジェクトを実施し、公正をめぐる規範・政策の研究を進めてきました。そのなかで国際的な共同研究ネットワークを創り上げ、公正社会をテーマとする論集を刊行するなど、多くの先端的な学術的成果を上げてきました。そこで本研究は、以上の成果を踏まえつつ、社会価値の創出をめざし、公正社会研究の展開を具体的な社会貢献・社会提言へと結びつけるため、以下の3つの柱を軸に研究活動を進めていきます。
第一に社会的公正について、人々の幸福感(ウェルビーイングともいいます)や価値観などの価値意識(公正・正義・市民性・安全・帰属・自己実現など)との関係について、大規模な実証調査を行い、分析します。これによって、「公正で豊かな社会」を実現する方策や、公正を通じて人びとの幸福を高めるための公共的ビジョンを探ります。
第二は新型コロナウィルスのもたらした社会な影響に注目し、社会的弱者にしわ寄せがくる「不公正」現象を明らかにし、コロナ時代の後の「新たなる公正」を展望したいと思います。
第三はグローバルな研究展開と成果の社会発信です。疎外や分断の克服に向けた具体的な提言、ビジョンを定期的に日英両言語で発信し、成果を有力な学術雑誌やメディアに掲載してきます。「社会的公正」の実現のため、力を合わせて研究と発信を続けていきたいと思います。
水島・米村・小林編『公正社会のビジョン』 明石書店、2021年
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