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社会価値創造研究支援プログラム

宇宙・極限環境等における長期居住のための食料生産・資源循環システムの構築

華岡 光正
  • 研究責任者

    華岡 光正 教授 / Mitsumasa HANAOKA

  • 所属

    千葉大学 大学院園芸学研究院

  • Researchmap

将来の宇宙計画として、月面の探査や居住に向けた検討が国内外で展開されています。わが国でも、宇宙航空研究開発機構(JAXA)を中心に、「月面農場」の実現に向けて栽培技術、無人化技術、リサイクルなどのシステムについて検討が進められています。近い将来、2030年代には100~1,000名程度が月面に長期的に居住すると想定されており、そのためには食料供給は必須の課題であり、特に廃棄物のリサイクルなど、資源循環を取り入れた食料生産の重要性が指摘されています。

宇宙開発を進めている世界各国では、月面での食料生産のためには人工光植物工場を利用することを想定しています。しかし、作物としてどのような品種が適切か、また、どのような栽培システムで効率よく生産できるのか、といった問いに対する答えはまだ得られていません。そのため、宇宙環境下での超高効率かつ持続的な食料供給システムの創造に挑戦する必要があり、特に、閉鎖系である宇宙環境においては、廃棄物の有効活用による完全循環型生産システムの構築が急務であると考えられます。

加えて、宇宙環境での食料生産を目指すこれらの研究は、同時に地球上、特に極限環境・劣悪環境における農業や食品産業の活性化につながることも期待され、さらに地球上における循環型社会の構築に必要な知見を提供するため、現在の社会が抱える問題を解決する上での重要な取り組みであるとも言えます。これらの背景や課題を踏まえて本研究では、これまで積み上げた最先端の園芸学の学術と技術を駆使することで、宇宙や特殊環境における資源循環型の食料生産システムの開発を目指します。

宇宙開発の分野において、最先端の農業やバイオ技術を利用して持続的な食料供給を実現する試みは世界的に見ても新しく、これら宇宙や極限環境に向けて開発された技術は、月面など宇宙居住の実用化への貢献に加えて、地球上における農業生産・リサイクル・環境保全の技術として、また、植物工場の商業生産の加速や農業のゼロエミッション技術への将来展開が期待されます。

宇宙・極限環境等における長期居住のための食料生産・資源循環システムの構築
真空の宇宙を想定した低圧植物栽培「0.1気圧で開花、結実するシロイヌナズナ」
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宇宙・極限環境等における長期居住のための食料生産・資源循環システムの構築
月面植物工場を想定したイネの水耕栽培システム
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宇宙・極限環境等における長期居住のための食料生産・資源循環システムの構築
植物残渣のリサイクルシステム
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