MENU

社会価値創造研究支援プログラム

早老症の多角的解析に基づく老化と疾患の病態解明
研究責任者:教授 横手 幸太郎

生活習慣病やがんなどの病気が、加齢とともに増加するメカニズムは未だ不明です。本研究では、普通よりも早く老化が進み、糖尿病やがんを高い頻度で合併する早老症という病気に着目し、その原因解明を通じてヒトの老化のメカニズムに迫ります。

我々が研究するウエルナー症候群という早老症は、20歳代から白髪、脱毛、両目の白内障などがおき、手足の筋肉や皮膚もやせて固くなり、急速に老化が進んでいくように見える病気です。世界の報告の6割を日本人が占めるほど日本に多い病気ですが、国内の推定患者数は700名から2000名と数が少なく、希少疾患とされています。そのため、ウェルナー症候群との診断に至らない症例や、診断を受けても適切に治療を受けられていない方も多く見受けられ、多くの患者さんが日常生活において大変な苦労を強いられています。

この病気は、DNAの二重らせんを解いたり戻したりする酵素であるヘリケースの異常で生じることが知られています。通常、病気が起きるしくみや治療法の開発には、ノックアウトマウスと呼ばれる病気の原因となる遺伝子を壊したネズミのモデルを用います。ところが、ヘリケースの遺伝子を壊してもマウスでは早老症を生じないため、これまで研究が思うように進みませんでした。そこで我々は、よりヒトに近いサルの早老症モデルを作成して、研究を展開します。マーモセットという小型霊長類でヘリケース遺伝子を破壊して老化やそれによってもたらされる病気のしくみを明らかにし、新たな治療法を開発したいと考えています。