衛星ビッグデータとデータサイエンスの統合による地球環境・災害予測研究の新展開
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- 研究責任者
小槻 峻司 教授 / Shunji KOTSUKI
- 所属
千葉大学 国際高等研究基幹 / 環境リモートセンシング研究センター
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- 研究責任者
気候変動の影響とみられる台風や線状降水帯による水災害や、熱波による巨大な森林火災は世界中で激化しています。地球環境・気象災害予測技術の向上に対する期待は高まる一方ですが、これまでの数値シミュレーションに基づく予測技術は、徐々に技術的成熟を迎えつつあります。
そこで本プロジェクトでは、千葉大学・環境リモートセンシング研究センターで蓄積してきた衛星観測ビッグデータを、ディープラーニングを始めとするデータサイエンス技術により統合し、気象環境・災害予測を飛躍的に改善することに挑戦します。この試みが実現すれば、膨大な静止衛星データを活用した新しいデータ駆動型降水予測による、千葉大発のAI天気予報が可能となります。
また気候変動研究の観点から、地球の「炭素収支」推定に取り組みます。地球上の陸・海の生態系によるCO2の吸収(収入)と放出量(支出)のバランスを「炭素収支」と言いますが、今後の温暖化予測を行うために、この収支をモニタリングする必要があります。そのため本プロジェクトでは、千葉大独自の陸面環境変動予測システムを開発し、モデル・衛星データ統合により全世界の炭素収支をモニタリングすることを目指します。炭素収支のモニタリングにより猛暑や干ばつなど急激な環境変動を早期に検出できれば、農作物の被害予測も可能となるため、被害の対策を早い段階で打つことができるようになります。また、2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組みであるパリ協定で定めた長期目標に向けた達成度を確認する「グローバルストックテーク」へのインプット等、研究成果を活かした国際貢献を推進します。
本プロジェクトを通して、衛星観測データに適したディープラーニング技術の開発により衛星観測科学におけるAI研究拠点、また、各国の静止衛星群を統合する独自の陸域生態系監視プロダクトを開発により静止衛星データ統合を先導する国際研究拠点を形成し、世界をリードする先端科学成果を創出していきます。