電気トモグラフィと機械学習との融合による医療・創薬可視化機器イノベーション
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- 研究責任者
武居 昌宏 教授 / Masahiro TAKEI
- 所属
千葉大学 大学院工学研究院
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- 研究責任者
病気の治療には、早期発見が重要です。世の中にはさまざまな疾患で苦しんでいる患者さんがいますが、入院している患者さんだけでなく、在宅で治療されている患者さんもいます。そのため、医療用のX線CTやMRIなどの大型で高価な可視化機器では家庭用に用いることはできず、病気の発症や進行を早期に発見することはどうしても難しいのが現状です。このような問題を解決するために、在宅診断を行うことができる簡易的な生体組織の可視化技術が求められています。
私たち研究グループでは、電気トモグラフィを利用した可視化技術の開発に取り組んでいます。電気トモグラフィは電気のCTとも呼ばれ、人体の周りに取り付ける多電極センサを用い、多数の電極ペア間の電気抵抗や静電容量を計測することで、人体断面の導電率分布や誘電率分布を再構成します。この研究を生かし、人体断面を空間3D+時間1Dの4Dで可視化できる技術を開発できれば、X線CTと比べると安全である上、コスト面でも圧倒的に優れた機器を、体重計についている体脂肪率や筋肉量を測る体組成計のように、誰でも簡便に使用することができます。
また、再構成された画像を分析し、医師が遠隔で診断ができるようなシステムを作り上げることで、日常的に患者さんの健康チェックすることが可能となる、次世代の医療機器の創生を目指しています。例えばリンパ浮腫という病気では、脂肪組織の状態とリンパ液の流れと関係があるため、脂肪の状態を知ることが大切です。私たちの技術であれば、脂肪を可視化できます。同様に、加齢や疾患により筋力が衰えるサルコペニアには筋肉の可視化、胃がんや胃潰瘍などはっきりとわかる病気がないのに胃の痛みやもたれなどの症状はある機能性ディスペプシアに対する胃の可視化も可能となります。また、イオンチャネル(膜タンパク質)など細胞も可視化できるため、医療・看護・創薬の広範囲に展開した研究を推進しています。
さらに、千葉大学発ベンチャーとしてTOMOCLOUDを起業し、上記の革新的な医療・創薬向けの可視化機器を実用化した医療・創薬機器を製造・販売し、破壊的イノベーションを起こすことを社会価値創造的なゴールとしています。