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若手研究支援プログラム(J-PEAKS)

生体内外における3次元生体組織構造の詳細観察を目指したパルス照射型マイクロCTの開発

岡本 尚之
  • 研究責任者

    岡本 尚之 助教 / Takayuki OKAMOTO

  • 所属

    千葉大学 フロンティア医工学センター

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    ORCID ID

マイクロCT(Micro X-ray computed tomography)は、病院などで使用される医療用X線CT装置に比べて、空間分解能が大幅に向上したイメージング装置です。非常に小さな被写体(数ミリ〜数センチ程度)の3次元内部構造を非破壊で観察できるため、工業製品や複雑な電子部品の検査装置として利用されています。また、医療分野にも活用用途は広がっており、病理学的な検査や前臨床研究における生体内イメージングへの利用など、マイクロCTを用いた生体組織の立体構造解析は盛んに行われています。
例えば、固形の生体組織に対する病理学的な検査は薄切された標本を顕微鏡で観察する手法が主流です。標本全体を観察するためには薄切標本を大量に作成することになりますが、作業工程の複雑さから標本のサンプリング間隔は粗くなりがちであり、3次元構造の詳細観察は困難といえます。一方、マイクロメートル単位の空間分解能をもつマイクロCTは、ワンスキャンで微細な3次元構造情報を取得できるため、これらの課題を克服できる可能性があります。

マイクロCTを病理検査に導入する試みは国内外で多数報告されていますが、これらの多くは大規模かつ高価な高性能マイクロCTを使用しています。現在一般的に流通しているX線源は、撮影中にX線を連続的に照射し続ける必要があり、大規模な電源・冷却装置が必要です。また、マイクロCT像の画質を向上させるためには長時間にわたるX線照射を行いますが、組織へのダメージも懸念されます。
本研究では、短時間のみ駆動するパルス照射が可能なX線源に着目し、電力消費の削減と電源・冷却装置の小型化を通じた、小規模なマイクロCTの設計・開発を目指します。当研究グループでこれまでに培ってきた高速撮影のための画像再構成技術を応用し、省エネ・省スペース、低被ばく、短時間撮影が可能なパルス照射型マイクロCTの開発に、ハードウェアとソフトウェアの両面から取り組みます。

生体内外における3次元生体組織構造の詳細観察を目指したパルス照射型マイクロCTの開発
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