急性骨髄性白血病に対するキメラ抗原受容体導入iPS細胞由来NKT細胞療法の開発
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- 研究責任者
青木 孝浩 助教 / Takahiro AOKI
- 所属
千葉大学 大学院医学研究院
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- 研究責任者
抗体のタンパク認識部位とT細胞受容体シグナル伝達部位を合わせ持ったキメラ抗原受容体導入T細胞(CAR-T細胞)は、本来であればがん細胞を認識しないT細胞ががん細胞を認識し、細胞傷害活性を発揮することを可能とした画期的ながん免疫細胞療法です。例えば、CD19を発現するB細胞性急性リンパ性白血病(ALL)においては、CD19を標的としたCAR-T細胞療法の登場により、化学療法や造血幹細胞移植のみでは治せなかった難治症例の救命が可能となりました。しかし、CD19やBMCAといったB細胞性造血器腫瘍以外の急性骨髄性白血病(AML)や固形腫瘍に対するCAR-T細胞療法はいまだ開発途上です。
千葉大学では、NKT細胞を標的とした免疫療法の臨床開発を進めています。NKT細胞は自然免疫系の免疫細胞の一種であり、がん種を問わず、様々ながん細胞を認識し、傷害します。それと同時に、大量のサイトカインを産生し、NK細胞や樹状細胞、T細胞といった他の免疫細胞を活性化させる役割を担っています。これまでに我々は、このNKT細胞にCARを発現させたCAR-NKT細胞が、CAR-T細胞とは異なった治療効果を発揮することを明らかにしました。そこで本研究では、これまでのCAR-T細胞療法では効果が期待しにくい、AMLを対象としたCAR-NKT細胞療法の開発を行います。
通常のT細胞と異なり、NKT細胞の大量培養は困難であったことから我々は理化学研究所と共にiPS細胞由来NKT細胞の開発を行いました。iPS細胞由来NKT細胞療法は現在、医師主導治験を終え、企業での製造開発も進んでいます。そこで本研究でもこのiPS細胞由来NKT細胞を用いて治療開発を行っています。