高齢者の尊厳を守りより良く生きるための生体センシングとシステム開発
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- 研究責任者
雨宮 歩 講師 / Ayumi AMEMIYA
- 所属
千葉大学 大学院看護学研究院
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ORCID ID
- 研究責任者
人生の最期まで「今が一番幸せ」だと思えるような、高齢者が尊厳を守りより良く生きることができる社会の実現を目指しています。在宅では、多くの高齢者が住み慣れた地域で生活することを望んでいますが、施設に入居せざるを得ない場合も多くあります。現在、介護の主な原因となっているのは認知症であり、認知機能低下の早期発見が重要です。更に、本人は自宅で生活できる状況でも、家族等の介護者が介護疲労などにより在宅での生活が継続できないケースも多くあります。そのため、介護者の介護疲労などが蓄積する前に早期に適切な支援が必要です。そこで、認知機能低下と介護疲労を在宅で自然に生活しながら得られるデータから早期に発見するための研究を進めています。
一方、病院では、高齢者の尊厳を脅かす身体拘束が問題となっています。身体拘束の弊害として身体機能の低下や精神的苦痛等が指摘されており、身体拘束を減らす必要がありますが、いまだに医療保険適応病棟の9割以上で実施されています。身体拘束を行なう看護師は悲しみ・罪悪感・葛藤・感情の欠如など精神的苦痛を感じながらもせざるを得ないなど、医療者側への心理的負担も生じています。身体拘束をしない場合には、看護師がとにかく何度も訪室して確認しますが、それで防ぎきることはできておらず、「いつ抜去されるか」という精神的負荷を抱えながら業務を遂行するというように、臨床現場の努力のみでどうにかしなければならない状況が続いています。そこで、その見守りを人で行うのではなく、センサシステムでおこなうことができないかと考え、身体拘束の主な要因となる医療用カテーテルの自己抜去につながりそうな動作を検知するシステムを開発しています。 どちらも世界初の試みであり、地域や臨床での調査を現在進めています。「このシステムがなかった時には、どのようにケアしていたのだろう」と思われるくらい、あたりまえのものとして普及するような破壊的イノベーションを起こすことができるよう、実用化に向けて邁進しています。