多元光インダイレクトビジョンによる深層映像イメージング
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- 研究責任者
久保 尋之 准教授 / Hiroyuki KUBO
- 所属
千葉大学 大学院情報学研究院
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- 研究責任者
携帯電話の普及に伴い、いまやデジタルカメラは非常に身近な存在となりました。デジタルカメラで撮影した画像からは、被写体の様々な情報を獲得することができます。従来の画像情報処理分野では、被写体にライトで光をあてて表面で直接的に反射してきた光(直接光)を取得・解析することで、物体の色や立体的な形状などを推定することができますが、あくまで被写体の表層的な特徴を推定するのに留まっています。
一方で私たちは、被写体の内部に位置する部位や遮蔽によって隠された位置関係にある部位など、カメラから直接見ることのできないシーンの深層的な情報は、単に表面で反射した直接光ではなく、むしろ複雑な経路を経由した光(間接光)こそが有していることに着目しました。そこで本研究では、シーン中を複雑に伝搬する光線のなかでも間接光の成分を選択的に観測することにより、これまで直接目に見ることのなかったシーンの潜在的な映像情報の可視化を目的とします。
さらに、光が波長や偏光などの様々な物理的な性質を備えた多元的な現象であることに注目し、間接光がシーン中を伝搬するときの波長や偏光の遷移を選択的に観測・解析します。これにより、従来の直接光によるシーンの理解・解析とは異なる、間接光に注目した多元光インダイレクトビジョンとして体系化を目指します。 本研究の応用として、肌内部の状態変化の可視化による医用画像処理への展開や、遮蔽物の先の映像を可視化することで見えない歩行者を検出するための車載ビジョンシステムなどの開発を視野に入れています。これらの技術は、医療や交通安全など、社会の様々な分野に革新をもたらす可能性を秘めています。