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若手研究支援プログラム(J-PEAKS)

免疫システム加齢変化の分子機構解明と災害関連死ゼロ実現を目指した治療基盤創出

小野寺 淳
  • 研究責任者

    小野寺 淳 教授 / Atsushi ONODERA

  • 所属

    千葉大学 国際高等研究基幹 / 大学院医学研究院 / 災害治療学研究所

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地震、津波、台風、豪雨、猛暑など近年の日本は大きな災害に見舞われています。あまり知られていないことですが、災害・気候変動と免疫学は密接に関連しています。東日本大震災の津波後には、流出した水産物の腐敗に伴ってハエや蚊が大量発生して衛生環境が悪化しました。また日本列島の温暖化に伴って、熱帯地域のデング熱やマラリアなどの流入が危惧されています。

最近注目を集めているのが、災害の直接的な被害による死ではなく、避難生活のストレスなどによる病死「災害関連死」です。災害関連死の特徴として、高齢者に多いこと、呼吸器・循環器疾患が多いことが挙げられます。特に避難所では狭い空間で多くの人が生活するため、衛生状態が悪くなり災害関連死のリスクが増大します。このように災害関連死は日本における非常に重要な問題であるのに関わらず、免疫学の観点からの研究はほとんど行われておりません。医学部棟に隣接して新設された災害治療学研究所では、こういった見過ごされがちな災害医療の課題解決に積極的に取り組んでいます。

本研究では、加齢と免疫異常との関係を解明することで、災害関連死ゼロを目指した診断・治療プラットフォームの開発を推進します。研究チームが特に着目するのが、免疫細胞のエピゲノム状態、即ち遺伝子発現の調節に関わる化学修飾です。最近の研究で、老化や生活習慣の乱れは、エピゲノム異常を介して免疫細胞の働きを撹乱し、心臓や肺の病気や感染症のリスクを高めることが分かってきました。

本研究のスタートは、あくまでも生命科学を基本とした災害治療学研究ですが、将来的には生命科学の枠を飛び越え、学内外の多くの研究者と医薬理工学融合を推進したいと考えています。気象・気候・地域特性「ジオサイエンス」と医療「メディカル」を融合させた「メディカルジオサイエンス」の概念を提唱、実践、普及を実現すべく研究に励んでまいります。

免疫システム加齢変化の分子機構解明と災害関連死ゼロ実現を目指した治療基盤創出
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小野寺 淳 教授の 記事 / ニュースリリース