MENU

井並 頌 特任助教 (JSPS特別研究員-PD)

井並 頌

井並 頌 特任助教 (JSPS特別研究員-PD)
/ Sho INAMI

  • 所属

    千葉大学 国際高等研究基幹 / 大学院薬学研究院

  • 研究キーワード

    ショウジョウバエ、ALS、メチル化

  • 所属学会情報

    日本神経科学会、北米神経科学会

研究テーマ

ショウジョウバエを用いたメチル基供与体SAMeによるALS/FTD制御機構の解明

研究概要

筋萎縮性側索硬化症 (Amyotrophic lateral sclerosis: ALS) は、進行性に運動ニューロンが障害される致死的難治性疾患である。近年の研究から、c9orf72遺伝子非翻訳領域 (c9 NRE)における数塩基繰り返し配列の異常伸長は、ALSおよび若年性認知症の代表である前頭側頭型認知症 (Frontotemporal dementia: FTD)にて高頻度で見られる変異であることが判明している。神経変性疾患患者に共通して見られる症状として、睡眠覚醒周期や代謝など多くの重要な生物学的プロセスをコントロールしている概日リズムの乱れが報告されている。しかし、ALSと睡眠・概日リズムの乱れを結びつける分子的・細胞的メカニズムは十分に解明されていない。そこで、ショウジョウバエの時計ニューロンでc9 NREを発現させると概日リズムの乱れが観察された。この際、時計ニューロンはまだ存在しており、行動障害が神経変性に先行して生じることが示唆された。

これらの知見により、ALS発症の初期段階におけるc9 NREと概日リズム機能障害との関連性の根底にある分子経路を発見するための、遺伝子修飾スクリーニングを行うことを可能にした。その結果、メチル供与体であるS-アデノシルメチオニン(SAM)をミトコンドリアに運ぶSAMCが同定された。今後の研究では、ミトコンドリアDNAおよびタンパク質のメチル化が、どのようなメカニズムでALSの進行に影響を与えるのかの解明を目指す。