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Sougata DATTA 特任研究員
Researchmap
/ ダッタ ソウゴト所属
千葉大学 国際高等研究基幹 / 大学院工学研究院
研究キーワード
インターロック分子、トポロジー、カテナン、超分子ポリマー、原子間力顕微鏡
所属学会情報
研究テーマ
トポロジカル超分子ポリマーが拓くメソスケールポリカテナンへの道
研究概要
硬い材料から柔軟性のある一次元構造体を作ることは容易ではありませんが、リングの連結によって形成される鎖状の構造を利用することで実現することができます。 またこの鎖状の構造体は材料が損傷しても、損傷した環だけを交換すれば修復できるという利点があります。 このように、環状分子で構成される鎖状の分子集合体であるカテナンは、材料に動的特性を付与する、つまり材料の機能性や耐久性を向上させ応用範囲を広げる可能性をもつ、重要な研究対象です。 フランス・ストラスブール大学名誉教授のジャン・ピエール=ソバージュ教授は、カテナンのテンプレート指向型合成の発見*により、2016年にノーベル化学賞を受賞しました。
この手法を用いて、多数の環が絡み合ったカテナンであるポリカテナンを含む、多様なカテナン分子が合成されてきました。 しかし、これらのポリカテナンは先端機能材料として多くの応用が期待されている一方、その合成は複雑で手間のかかるものでした。 また、構成する環が大きく柔軟であるため結晶化が難しく、特性評価が極めて困難でした。 そこで私たちは、原子間力顕微鏡で容易に特性評価ができるメソスケールのポリカテナンを作製しました(研究概要図)。
これは多数の低分子の自己組織化により、極めて簡単かつワンステップで作ることのできる構造体です。 将来的にはこれらの構造体を利用して、メソスケールの機械・装置の作製を目指しています。
*分子の合成方法の一つで、テンプレートと呼ばれる分子の立体的な形状に沿って、別の分子が合成される方法。この方法により、従来の合成方法では合成が困難だった複雑な構造を持つ分子の合成が可能となった。